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草の根技術協力プロジェクト(JICA Partnership Program)

ネパール・サクー村における適正な農薬使用技術の指導
 ネパールの首都カトマンズ近郊に位置するサクー村では、従来の灌漑施設を利用して野菜(馬鈴しょ・トマト等)が生産されており、集約的な農業が営まれている地域です。近年のサクーでは農薬使用に関する知識の普及や情報の共有も不十分という中で、病害虫対策のための農薬使用量が年々増加傾向にあり、適正な知識や使用法に基づかないことから採算の取れない農家も見られるようになりました。首都近郊では農薬の過剰使用による健康被害への懸念が広がりつつあり、野菜需要の増加とともに農薬の適正使用によって栽培された野菜も消費されるようになってきています。また農民自らが環境問題を引き起こす可能性について不安を抱き、改善の意欲を持っていました。
 こうした背景には農民の知識不足と適切な情報が共有されていないことがあり、農家にはその認識がありながら独力や周辺環境からではその手段がないため、このプロジェクトでは、病害対策および適正な農薬使用を行うために必要である「種子の管理」「農薬の使用」「作物の管理」についての技術指導を行いました。
​対象地域
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カトマンズから東へ17km、サクー村はかってチベット巡礼の宿場町として栄えました。古刹チャングナラヤン寺、バジリヨギーニ寺、○○寺など、信仰の地、カトマンズ近郊の典型的な農村です。
​技術協力の内容
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「種子の管理技術」「農薬の使用技術」「作物の管理技術」の移転など、サクーの環境に合った適正な農薬使用技術の普及をめざし、安全な散布に必要なすべての知識・技術から、必要な身づくろいまでを学びます。

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現地技術指導
​病害・農薬使用についての現地技術指導
 サクー村で発生している疫病と使用されている農薬の状況を確認し、馬鈴しょ疫病を中心に、疫病と農薬使用の状況把握、農薬の最適な使用技術の指導を計14回の現地派遣により行いました。

・全圃場を対象とした土壌検査、病害虫発生予測を目的とした気象観測。
・全圃場を対象とした疫病の調査、病害発生状況の記録。
・地域で発生している疫病の症状と対処法の指導。
・疫病対策のための展示圃場の設置。
・農薬の使用状況の調査、流通している農薬のリスト作成、具体的な散布方法の改善指導。
・水田の水管理方法の調査。
・疫病の実態と、適正な農薬散布方法についてのパンフレット(英語・ネパール語)の作成、配布。

農民グループ、現地カウンターパートであるCENEEDに加え、NARC(ネパール農業研究センター)への協力を要請し、連携のもと活動しています。
現地講習会の開催
各農家、またはリーダー層を対象とし、以下のテーマで講習会を開催しました。

第1回「農薬使用による農業経営と健康への影響」
第2回「疫病の原因と伝染、疫病発生予察の考え方」
第3回「対象地域従来の農業技術と日本の農家から見た馬鈴しょ生産技術(種子管理)」
第4回「病原菌の成長・拡散サイクルの理解と散布方法について」「ネパール農民の実践技術」
第5回「疫病対策に関する合意形成手法(リーダー研修)」「土壌水分測定」
第6回「日本での招聘研修」※追記
第7回「疫病の状態観察と把握」「観測気象データの利用方法」
第8回「サクー村における適正な農薬の使用技術」
第9回「安心・安全な野菜作りー地域ぐるみの適正な農薬使用:疫病を中心に」
日本地図のアイコン 茶.png
​日本での招聘研修
実施日程:平成28年8月16日〜29日 
招聘研修の実施状況はこちら
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